日本給水党(団地給水塔鑑賞ブログ)
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神奈川県公社戸手共同住宅

神奈川県公社戸手共同住宅のとっくり型給水塔
完成:1950年(昭和25年)
戸数:280戸
撮影:2014年8月
Googleマップ
党首略歴にも書いていますが、僕が初めて興味を持った給水塔は、家の近所にあった大阪市営古市中団地の給水塔で、その形状はとっくり型でした。古市中団地は昭和28年度から建設が始まった団地ですが、僕が給水塔撮影を始めたころには既になくなっています。
古市中団地を設計したのは久米建築事務所(現:久米設計)で、同社OBの黒川洋氏の証言によれば、とっくり型給水塔が初めて作られたのは昭和27年度に同社が設計した神奈川県住宅公社の浦島ヶ丘団地とのことです。
(黒川洋、小林明、小島道夫「昭和の集合住宅史(4)-古市団地、石神井公園団地と花見川団地」『住宅』1992年1月号より)

浦島ヶ丘住宅
(建設当時の浦島ヶ丘団地の様子。『神奈川県住宅公社5年のあゆみ』(昭和30年発行)より引用)

この浦島ヶ丘団地も1990年代に建て替えられ、給水塔はとっくの昔に姿を消しています。
浦島ヶ丘(昭和27年度)から古市中(昭和28年度)の間に建てられたとっくり型給水塔もあるかもしれませんが、今まで実際に見たことはなく、もし過去に存在していたとしてももう今は無くなっているのだろうと思っていました。

そんな風に考えていたところに流れてきたのが、同じプロジェクトDの仲間であるリサタケキさんの以下のツイート。



「戸手共同住宅」ってどこだろう?見たことのないとっくり型給水塔だし、団地も古そう…。
検索すると、記事が見つかりました。同じくプロジェクトDの仲間であるみしざわさんのブログ。

団地めぐり---戸手共同住宅(神奈川県住宅供給公社)その1--- | Mishizawaメイン(ブログ版) - 楽天ブログ
団地めぐり---戸手共同住宅(神奈川県住宅供給公社)その2--- | Mishizawaメイン(ブログ版) - 楽天ブログ

記事中、建設年度は特定されていませんが、住棟形式からして明らかに昭和20年代の団地。
しかももう1基、むき出し型給水塔まであるそう。
まさかこんな団地が残っていたとは知りませんでした…。
その後、前掲の『神奈川県住宅公社5年のあゆみ』(以下『あゆみ』と表記)で調べたところ、戸手共同住宅の建設年度は昭和25~27年度。
詳細は後述しますが、むき出し型給水塔は昭和25年度、とっくり型は27年度に建設されたと考えられます。
つまり、元祖とっくり型である浦島ヶ丘とほぼ同時期のとっくり型給水塔ということです。

リサタケキさんによると、既に団地の一部は建替えのため囲いがされているとのこと。
これは急がねば!ということで昨年8月、日帰りで川崎まで行ってきました。
(前振りが長くてすみません)

戸手アパート前バス停
川崎駅からバスで10分ほど。歩いても行けない事はないくらいの距離です。


神奈川県公社戸手共同住宅の入り口
バスを降りると、もう給水塔が見えています。


神奈川県公社戸手共同住宅の銘板
団地入り口にある銘板。団地建設当時は「神奈川県住宅供給公社」ではなく「神奈川県住宅公社」という名称だったので、建設当初からの銘板ではないと思います。


下から見上げた神奈川県公社戸手共同住宅のとっくり型給水塔
これが現存最古、どころかほぼ国内最古クラスのとっくり型給水塔!
それにしては結構キレイな外観。頭頂部の2本ラインのペイントを含め、後年に何度か塗替えをしているんだと思いますが、そんなに損傷が見られずまだまだ現役でいけそうな雰囲気。


北側から見た神奈川県公社戸手共同住宅のとっくり型給水塔
そんな風に思っていたのですが、北側に回ってみたら…。
頂部から水が垂れた跡が黒々と残っていました。


神奈川県公社戸手共同住宅のとっくり型給水塔北側
おそらく今は修繕済みと思いますが、やはり60年以上も経つと多少の故障や損傷もあるのでしょう。


神奈川県公社戸手共同住宅のとっくり型給水塔の基部
基部は金網で近づけないようになっています。


囲いの中の神奈川県公社戸手共同住宅1・2号棟
1~5号棟はすでに工事用フェンスの向こう側に。
『あゆみ』によると、1~5号棟は昭和25年度の建設。


神奈川県公社戸手共同住宅2号棟
少し遠くから撮影した2号棟。
1~3号棟は階段室型の中層棟で、公営住宅標準設計の49C型に少し手を加えたものになっています。


神奈川県公社戸手共同住宅のむき出し型給水塔
むき出し型給水塔も囲いの中にありました。
立地等から考えて、おそらくこの給水塔は周辺の住棟と同じく昭和25年度に建てられたと思われます。
給水塔の中でも最も風雨に晒され損傷しやすいむき出し型の給水塔で、こんなに古い物が残っていたとは驚きです。


神奈川県公社戸手共同住宅のむき出し型給水塔頂部
近づけないので同じ位置から望遠レンズで撮影。


神奈川県公社戸手共同住宅のむき出し型給水塔と片廊下50d棟
給水塔の右横に写っているのは5号棟。
4号棟と5号棟は片廊下型で、標準設計の形式では50D型にあたります。


神奈川県公社戸手共同住宅の片廊下50d棟
近づいて見たかった…。


神奈川県公社戸手共同住宅の低層棟北側
『あゆみ』によると、次に建てられたのは11~14号棟で、昭和26年度の建設。
(なぜ6~10号棟より先に建てられたのかは分かりません)
一見するとテラスハウスのようにも見えますが、上下階で別の住戸になっています。


神奈川県公社戸手共同住宅の低層棟南側
こちらは南側。


神奈川県公社戸手共同住宅の低層棟妻側
この塗装は給水塔の塗装と同じく後年施されたものと思いますが、何か意味が込められているのでしょうか。
アルファベットのKのようにも見えます。


神奈川県公社戸手共同住宅の51c住棟
そして昭和27年度に建設されたのが6~10号棟。
こちらの設計形式は51C型(に少し手を加えたもの)。
食寝分離と就寝分解(2寝室の確保)を図った、公営住宅標準設計の中でもとりわけ有名なものです。


神奈川県公社戸手共同住宅の51c住棟群
整然と並ぶ51C型の住棟群。
(手前の柵が傾いているのはカメラの水平が取れていないのではなく、坂道だからです)


神奈川県公社戸手共同住宅のとっくり型給水塔と51c住棟
とっくり型給水塔は6~10号棟の近くにあります。
おそらく6~10号棟に給水するために同時期に建てられたのだと思います。
6~10号棟の建設年度は浦島ヶ丘団地と同じ昭和27年度。
とっくり型第1号浦島ヶ丘とほぼ同時期に建てられた訳で、ひょっとしたらとっくり型第2号の可能性もあります。
戸手共同住宅の設計が浦島ヶ丘と同じ久米建築事務所かどうかは確認できませんでしたが(同時期の久米建築事務所の集合住宅作品一覧には載っていなかったのでおそらく違うと思われる)、同じ神奈川県住宅公社の団地ということでいち早くこの新しいデザインを取り入れたのではないでしょうか。


神奈川県公社戸手共同住宅のとっくり型とむき出し型給水塔
聞くところによると、すでにむき出し型給水塔は撤去されてしまったそうです。
とっくり型給水塔もいつまであるかは分かりません。
最初期のとっくり型給水塔、ご興味のある方は今のうちに目に焼き付けてもらえればと思います。
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Comment

No.195 / N [#-] 戸手アパート

今年の3月まで8号棟に住んでいた者です
戸手に生まれ戸手で育ち今も戸手周辺に住んでます
旦那は戸手アパートで生まれ育ちました(あ、30代前半の夫婦ですよ 笑)
給水塔、ずーっと有るものだったので特に気にしていなかったのですが…貴重な物だったんですね
あの給水塔も来年の6月頃には取り壊しだと思います

縁があり、こちらのブログにたどり着いたのでコメントを…

2015 08/22 (Sat) 16:12

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2008年10月結党。
以来、世間一般からはもちろんのこと、団地鑑賞界においても給水塔鑑賞界においても傍流に置かれがちな“団地の給水塔”の地位向上を目指し活動している。
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